海外FX業者のXMTrading(エックスエム)では、KIWAMI極口座が2022/10/26(水)に新設されました。
一方、同じく海外FX業者のExness(エクスネス)でも似たような特長を持ったプロ口座が存在します。
そこでこの記事では、「XMTradingのKIWAMI極口座」と「Exnessのプロ口座」に同じロジックのEAを適用した場合の損益パフォーマンスを徹底比較してみたいと思います。
取引銘柄の選定
XMのKIWAMI極口座、Exnessのプロ口座ともに、最初にご紹介したメリットを活かせるのは主要銘柄に限られています。そこで今回は、海外FXでも安定して人気が高く、投資人口も多い投資商品である「ゴールド(XAU/USD)」を対象に比較を行います。
シンボル表記について
XM、Exnessともに、同じ「ゴールド(XAU/USD)」であっても口座タイプによって取引プラットフォーム(MT4/MT5)に表示されるシンボル表記は異なっています。
また、以下のように、XMとExnessでもシンボル表記が異なります。
口座タイプ | シンボル表記 |
XM Standard口座 | GOLD |
XM KIWAMI極口座 | GOLD# |
Exness スタンダード口座 | XAUUSDm |
Exness プロ口座 | XAUUSD |
なお、シンボル表記は異なりますが、基本的に同じゴールドであり、基本的な価格変動等は似たような動きになっています。
損益シミュレーション前提
ティックデータ
データは、XMTradingおよびExnessのティックデータを使用します。ティックデータというのは、価格変動履歴の詳細データです。1秒未満の数値を持っていますので、かなり正確にバックテストを行うことが可能です。
ティックデータは、以下のように、MT5から取り出すことができます。
ティック例:XM – KIWAMI極口座(GLOD#)
ティック例:Exness – プロ口座(XAUUSD)
売気配(Bid)というのは、売り注文をする際の価格、買気配(Ask)というのは、買い注文をする際の価格、買気配(Ask)と売気配(Bid)の差が、いわゆるスプレッドです。
ご覧になってわかるように、例えば一番上のティックであれば、KIWAMI極口座(GOLD#)は、0.12であるのに対し、プロ口座 (XAUUSD)は、0.125です。
最小スプレッドに関しては、KIWAMI極口座の方が若干有利であることがわかります。
損益検証に使うEAのモデル
以下のようなナンピンマーチンEAの1日完結型モデルを使用します。
レバレッジ | 1,000倍 |
初期lot | 0.01lot |
エントリー | 稼働時間内であればすぐに新規ポジションを取る |
ナンピン幅 | 最低価格変動0.01に対して、価格幅2.00 |
マーチン倍率 | マーチンゲール法(倍率1.5倍) |
利確目標 | 1ポジション当たり147円(ロット数0.01で価格幅1.00の利益が147円の想定) |
稼働時間 | 1:05~23:49 |
強制クローズ | 23:49時点で持っているポジションを全てクローズ |
時間表記について
MT5上の時間表記ですが、XMの場合はキプロス時間、Exnessの場合はグリニッジ標準時とそれぞれで時間表記が異なります。
夏時間、冬時間の差もあるのですが、少なくともこの記事で確認しようとしている2022/11/7以降は冬時間ですので、その場合の取引時間は以下のようになります。
・Exnessの時間表記は、23時〜翌日22時(22時〜23時まで休止)
※どちらも、日本時間では8時〜翌日7時(7時〜8時まで休止)を意味します。
つまり、XMの時間表記の方が、休憩時間を1日の区切りと考えるとわかりやすいです。
そこで今回は、Exnessの時間を2時間ずらして、XMの時間表記に合わせる形で比較していきます。
損益シミュレーション結果
期間は、夏時間から冬時間に完全に切り替わった2022/11/7(月)から2022/11/18(金)までの2週間とします。
2022/11/7(月)から2022/11/18(金)までの累計損益比較
- pos.:対象期間の最大ポジション数
- DD:対象期間の最大含み損
- profit:対象期間の損益合計
口座 | pos. | DD | profit |
Exness(プロ) | 14 | -709,080 | 245,939 |
XM(KIWAMI極) | 15 | -1,195,948 | 281,647 |
2022/11/7(月)から2022/11/18(金)までの日別損益比較
損益(profit)比較
date | Exness(プロ) | XM(KIWAMI極) |
2022/11/7(月) | 19,000 | 17,697 |
2022/11/8(火) | 29,542 | 46,765 |
2022/11/9(水) | 24,990 | 26,139 |
2022/11/10(木) | 28,753 | 47,929 |
2022/11/11(金) | 31,426 | 31,400 |
2022/11/14(月) | 19,391 | 19,882 |
2022/11/15(火) | 38,648 | 39,596 |
2022/11/16(水) | 21,028 | 19,475 |
2022/11/17(木) | 19,034 | 18,241 |
2022/11/18(金) | 14,127 | 14,523 |
最大含み損(DD)比較
date | Exness(プロ) | XM(KIWAMI極) | ||
pos. | DD | pos. | DD | |
2022/11/7(月) | 7 | -25,578 | 7 | -26,003 |
2022/11/8(火) | 14 | -709,080 | 15 | -1,195,948 |
2022/11/9(水) | 7 | -31,945 | 8 | -38,208 |
2022/11/10(木) | 12 | -292,464 | 9 | -144,644 |
2022/11/11(金) | 8 | -38,778 | 7 | -37,456 |
2022/11/14(月) | 7 | -27,386 | 6 | -20,643 |
2022/11/15(火) | 8 | -47,861 | 8 | -52,620 |
2022/11/16(水) | 6 | -21,395 | 7 | -24,130 |
2022/11/17(木) | 7 | -28,790 | 7 | -28,596 |
2022/11/18(金) | 7 | -30,260 | 7 | -30,109 |
一方で、2022/11/10(木)については、Exness(プロ)がポジション数12、XM(KIWAMI極)はポジション数9と逆の状態になっています。
ピックアップ比較
ここでは、特定の時間帯をピックアップして比較してみます。
2022/11/8(火) 15:30~17:30頃
プロ口座(sell_set_18)
エントリー注文
time | lot | sell | ave. | order | DD |
15:34 | 0.01 | 1672.667 | 1672.667 | 1 | – |
16:19 | 0.02 | 1674.670 | 1674.002 | 2 | – |
16:27 | 0.03 | 1676.697 | 1675.349 | 3 | – |
16:52 | 0.05 | 1678.710 | 1676.877 | 4 | – |
17:08 | 0.08 | 1680.738 | 1678.503 | 5 | – |
17:08 | 0.12 | 1682.932 | 1680.217 | 6 | – |
17:10 | 0.18 | 1693.273 | 1685.013 | 7 | – |
17:11 | 0.27 | 1695.301 | 1688.668 | 8 | – |
17:13 | 0.41 | 1697.306 | 1691.695 | 9 | – |
17:14 | 0.62 | 1699.642 | 1694.448 | 10 | – |
17:16 | 0.93 | 1701.680 | 1696.921 | 11 | – |
17:18 | 1.40 | 1703.685 | 1699.219 | 12 | – |
17:19 | 2.10 | 1705.689 | 1701.403 | 13 | – |
17:20 | 3.15 | 1707.730 | 1703.530 | 14 | -709,080 |
クローズ注文
time | lot | ave. | close | profit |
17:22 | 9.37 | 1703.530 | 1703.474 | 7,713 |
つまり、このスプレッドが広がっていた時間帯は、ナンピン注文を行なっていませんでした。
その結果、order6が1682.932、order7が1693.273と、価格が10.000以上も開く結果になったのです。
KIWAMI極口座(sell_set_18)
エントリー注文
time | lot | sell | ave. | order | DD |
15:34 | 0.01 | 1672.68 | 1672.68 | 1 | – |
16:19 | 0.02 | 1674.72 | 1674.04 | 2 | – |
16:27 | 0.03 | 1676.78 | 1675.41 | 3 | – |
16:52 | 0.05 | 1678.80 | 1676.95 | 4 | – |
17:08 | 0.08 | 1680.81 | 1678.58 | 5 | – |
17:08 | 0.12 | 1684.69 | 1680.95 | 6 | – |
17:09 | 0.18 | 1687.03 | 1683.18 | 7 | – |
17:09 | 0.27 | 1689.66 | 1685.48 | 8 | – |
17:09 | 0.41 | 1694.45 | 1688.62 | 9 | – |
17:10 | 0.62 | 1696.56 | 1691.37 | 10 | – |
17:14 | 0.93 | 1698.62 | 1693.85 | 11 | – |
17:16 | 1.40 | 1700.76 | 1696.20 | 12 | – |
17:17 | 2.10 | 1702.81 | 1698.43 | 13 | – |
17:19 | 3.15 | 1704.94 | 1700.62 | 14 | – |
17:19 | 4.73 | 1707.18 | 1702.82 | 15 | -1,195,948 |
その結果、プロ口座よりも1つ多いポジションを取る結果になりました。
クローズ注文
time | lot | ave. | close | profit |
17:22 | 14.10 | 1702.82 | 1702.72 | 20,727 |
KIWAMI極口座の方でもスプレッドが一瞬広がってスプレッドフィルターが機能したのですが、1分にも満たない一瞬で、すぐに解消し次のポジションを取りに行ったようです。
ただ、スプレッドフィルターが0.45とKIWAMI極口座の平均スプレッドの割には大きすぎるという問題もあるかもしれません。
まとめ
以上、XMTradingのKIWAMI極口座とExnessのプロ口座に対して同じロジックのナンピンマーチンEAを適用した場合の損益パフォーマンスを徹底比較してみました。
スプレッドフィルターという思わぬところでパフォーマンスに差が生じたところは少し想定外でした。
この記事でピックアップして紹介した2022/11/8(火)の1日詳細分析データについては、以下の記事で確認可能です。
結果的に、スプレッドの違いによる差を良いサンプルで確認することが出来ました。
ポイントをまとめると以下の通りになります。
- プロ口座の方が、スプレッドが一度拡大すると一定期間維持するようなので、価格が大きく変動している時間帯にナンピンは行わないというスプレッドフィルターが上手く機能しそう。
- ナンピンを制限するということは、その分ナンピン回数が減るので、ポジションクローズ時の利益としては減る傾向である。
- ただし、ナンピンEAにとって特に重要な”ナンピンを積み重ね過ぎない”という意味では、リスクが低い。
以上、XMTradingのKIWAMI極口座、Exnessのプロ口座と似たような特徴がありますが、少しだけ相違点がありますので、よく比較してみると良いかと思います。
それぞれの口座開設は、以下のリンクからお願いします。