このサイトの損益データ分析記事では、日別の損益シミュレーションを掲載していますが、このデータを用いて、より具体的な戦略を考えていきたいと思います。
モデル(EA)は、32種類の中から、「model301(稼働時間制限モデル)」を選定しました。
選定理由は、価格変動が大きくなりがちなNY時間を避けて稼働時間を制限していることにより、含み損がそこまで大きくなりにくく、比較的少ない資金で着実に利益を積み重ねていくことが出来るからです。
初期資金を設定
上記の「model301」の損益シミュレーションは、XMTradingのスタンダード口座で、初期lot数が0.01という設定でした。
そこでまずは、初期lot数をマイクロ口座の0.01に設定します。
すると、「必要資金(required)」と「損益(profit)」のいずれも1/100で考えれば良いので、年別損益は以下のようになります。
年別損益(2018年1月2日から2022年9月30日まで)
- pos.:1年の最大ポジション数
- required:ゼロカットにならないための必要資金
- profit:1年の損益合計
- yield:必要資金で運用した場合の利回り
年 | pos. | required | profit | yield |
2018年 | 17 | 31,692 | 5,802 | 18.3% |
2019年 | 17 | 33,742 | 10,305 | 30.5% |
2020年 | 16 | 24,277 | 29,051 | 119.7% |
2021年 | 15 | 13,970 | 13,937 | 99.8% |
2022年 | 17 | 34,926 | 12,316 | 35.3% |
年単位で見ると、必要資金(required)が大体3万円を超えてきていますね。
ちなみにこのデータを素直に見ると、資金を35,000円以上用意しておけば、4年半以上(57ヶ月間)ロスカットせずに運用を継続できたことがわかります。その利益は7万円超なので、仮に35,000円で運用していたら、資金が約3倍になります。
資金が3万円以上必要になった日
同じデータから、必要資金(required)が3万円以上になった日を抽出してみます。
すると、以下の4日間であることがわかります。
年 | pos. | required | profit | yield |
2018/8/16(木) | 17 | 31,692 | 113 | 0.4% |
2019/6/20(木) | 17 | 33,742 | 2,983 | 8.8% |
2019/9/12(木) | 17 | 32,011 | 79 | 0.2% |
2022/3/8(火) | 17 | 34,926 | 355 | 1.0% |
2018年1月2日から2022年9月30日まで取引可能日は1,226日間ありますので、そのうちの4日間です。
資金が2万円以上必要になった日
さらに、必要資金(required)が3万円以上を除いて、必要資金(required)が2万円以上になった日を抽出してみます。
年 | pos. | required | profit | yield |
2019/1/30(水) | 16 | 25,157 | 39 | 0.2% |
2020/4/7(火) | 14 | 24,277 | 518 | 2.1% |
2020/10/28(水) | 16 | 21,125 | 672 | 3.2% |
以上の3日間のみでした。3万円以上の4日間も含めて、合計7日間が、資金が2万円以上必要になった日ということになります。
資金が1万円以上必要になった日
さらに、必要資金(required)が1万円以上になった日を抽出してみると、以下の9日間でした。
年 | pos. | required | profit | yield |
2018/8/28(火) | 15 | 14,756 | 87 | 0.6% |
2019/1/29(火) | 15 | 13,183 | 4 | 0.0% |
2019/6/3(月) | 15 | 14,292 | 149 | 1.0% |
2020/4/6(月) | 13 | 16,169 | 24 | 0.1% |
2020/7/28(火) | 15 | 15,825 | 2,513 | 15.9% |
2021/8/23(月) | 15 | 13,586 | 272 | 2.0% |
2021/10/15(金) | 15 | 13,970 | 173 | 1.2% |
2022/1/20(木) | 14 | 10,516 | 116 | 1.1% |
2022/8/15(月) | 14 | 10,489 | 470 | 4.5% |
2万円以上の7日間も含めて、合計16日間が、資金が1万円以上必要になった日ということになります。
ロスカット発生確率を計算してみる
以上のデータから、確率を簡単に計算してみます。
資金3万円で利益3万円獲得できる確率
資金3万円で運用していた場合、
「4÷1,226=0.326%」の確率で、必要資金が足りずにロスカットする日が訪れます。
1日あたり平均58円の利益ですので、3万円の利益を獲得するには、517日間ロスカットせずに運用を継続する必要があります。
その確率は、
「(1-0.326%)^517=18.5%」です。
資金2万円で利益2万円獲得できる確率
資金2万円で運用していた場合、
「7÷1,226=0.571%」の確率で、必要資金が足りずにロスカットする日が訪れます。
1日あたり平均58円の利益ですので、2万円の利益を獲得するには、345日間ロスカットせずに運用を継続する必要があります。
その確率は、
「(1-0.571%)^345=13.9%」です。
資金1万円で利益1万円獲得できる確率
資金1万円で運用していた場合、
「16÷1,226=1.305%」の確率で、必要資金が足りずにロスカットする日が訪れます。
1日あたり平均58円の利益ですので、1万円の利益を獲得するには、172日間ロスカットせずに運用を継続する必要があります。
その確率は、
「(1-1.305%)^172=10.4%」です。
以上の通り、比較的安全なナンピンマーチンEAで1日あたり平均58円という利益をコツコツ積み重ねていたとしても、ある日ロスカットしてしまう日が訪れ、それまでの利益をほとんど吹き飛ばしてしまう、ということがわかります。
例えば資金1万円で運用していた場合、目標利益の1万円を目指して毎日コツコツ運用して利益を獲得していたとしても、それを172日間継続出来る確率は10.4%しかなく、大抵の場合、利益が1万円に到達する前にロスカットしてしまう、つまり、損失額が1万円という日が訪れます。
1日あたりの勝率は98.695%とかなり高確率であるにも関わらず、最終的な勝率は低くなるのです。
これが、ナンピンマーチンEAはコツコツドカン型と言われる所以ですね。
では、ナンピンマーチンEAは稼げないのか?
これまで見てきた通り、ナンピンマーチンEAは、1日あたりの勝率は高くても、最終的に1回の負けが訪れるだけで、負け越してしまうことがよくわかりました。
ここで少し視点を変えて、海外FXにはよくあるクレジットボーナスついて考えてみたいと思います。
XMTradingのクレジットボーナスを考慮
XMTradingでは、入金額500ドル相当額までは入金額の100%のボーナスが付与されるため、例えば1万円を入金すれば、口座の有効証拠金を2倍の2万円にすることができます。
すると、以下のように確率を計算し直すことが出来ます。
資金1万円(+クレジットボーナス1万円)で利益1万円獲得できる確率
資金1万円(+クレジットボーナス1万円)で運用していた場合、
「7÷1,226=0.571%」の確率で、必要資金が足りずにロスカットする日が訪れます。
1日あたり平均58円の利益ですので、1万円の利益を獲得するには、172日間ロスカットせずに運用を継続する必要があります。
その確率は、
「(1-0.571%)^172=37.3%」です。
クレジットボーナスの1万円を加えて余裕資金を考えることで、ロスカット確率が減り、目標利益までの継続確率を10.4%から37.3%まで上昇させることが出来ました。
資金2万円(+クレジットボーナス2万円)で利益2万円獲得できる確率
資金2万円(+クレジットボーナス2万円)で運用していた場合、
「0÷1,226=0.000%」の確率で、必要資金が足りずにロスカットする日が訪れます。
1日あたり平均58円の利益ですので、2万円の利益を獲得するには、345日間ロスカットせずに運用を継続する必要があります。
その確率は、
「(1-0.000%)^345=100.0%」です。
初期資金2万円から始める具体的な戦略
以上を踏まえ、「初期資金2万円から始めて、2万円の利益を獲得する」、つまり、「2万円の資金を2倍の4万円にする」ための具体的戦略を策定します。
1. 初期資金2万円を入金
初期資金2万円を、XMTradingのマイクロ口座に入金します。
2. 有効証拠金4万円で運用開始
初めての方であれば、入金額の100%のボーナスが付与されると思います。既にXMの口座をお持ちの方でも、ボーナスの権利がまだ残っていれば適用されますし、XMの入金ボーナスは定期的にリセットされて復活します。
すると、2万円のクレジットボーナスが付与されて、口座の有効証拠金は4万円になります。
初めての方の場合は、さらに新規口座開設ボーナスで3,000円等が付与されるケースもあります。
3. EAのパラメーター設定をmodel301にセット
このサイトで配布しているEAで運用を開始します。口座はマイクロ口座、初期lot数は0.01、モデルの設定はmodel301にします。
4. 日々の利益を別口座に移動
日々利益が発生すると思いますが、発生した利益はその日のうちに別口座に移しておきます。XMの場合、クレジット口座付きの口座間であれば、資金を移動してもクレジットボーナスは消滅しません。
そうして、運用口座の資金を「残高+クレジット」で常に4万円に維持しておきます。
具体的には以下の運用になります。
5. ロスカットしても次の日から有効証拠金4万円で運用開始
これまで見てきた通り、1,226日間ロスカットが発生しないというデータはありましたが、これから運用を始めるその日が、ロスカット発生日になってしまう可能性もなくはありません。
しかし、そうであっても、それはレアなことであると受け止め、次の日からまた新たに運用を開始します。
これが、相場を確率で捉えるということです。過去データで十分にシミュレーションを行なっておけば、実際に起こる事象も確率的に捉えて冷静でいられるかもしれません。
この戦略を実施する上での心得
以上、データを用いた確率分析と、具体的戦略の策定を行ってきましたが、2万円を失う確率と、2万円を失わずに利益を獲得し続けられる確率を考慮した上で、確率統計的に優位な戦略を組めば、比較的低リスクで資金を倍増させることが可能ということになります。
ただしこれは、「これまでの過去の統計・確率が、今後も引き続き継続する」という前提の上で成り立つ戦略です。
もしかしたら、1,226日間ロスカットが発生しないという確率は、次の1,226日間では、1/1,226や2/1,226になっているかもしれません。
しかし、それくらいの確率であっても、345日間ロスカットが発生しなければ初期資金2万円は回収できる計算ですので、それくらいまでならまだ許容範囲かもしれません。
ただ、それ以上に大きく相場環境が変わってしまっては、過去の統計は全く役に立たないということで、戦略を考え直した方が良さそうです。
従って、失っても良い資金を用意した上で、そういった状況になっても良いように資金管理戦略を考えていくことが重要です。
その意味で、初期資金2万円というのは多くの方にとって設定しやすい金額かもしれません。
もちろん、初期資金を20万円、40万円、100万円として、同じような戦略を実施することは可能でしょう。ただし、万が一の時に失う資金の大きさもそれだけ大きくなります。
特にナンピンマーチンは、調子良く利益が出ている間は利益率がとても高く見栄えが良いので、資金を失う時の損失の大きさのイメージを忘れてしまう方が多いかもしれません。
必ず、ロスカットした時のイメージを正しく持って、日々の結果を受け止めていくようにしましょう。
2万円を4万円に倍増させる戦略まとめ
- 初期資金2万円をXMTradingのマイクロ口座に入金する。
- クレジットボーナス2万円と合わせて有効証拠金4万円で運用開始する。
- このサイトで配布しているEAのパラメーター設定をmodel301にセットする。
- 日々の利益は、別口座に毎日移して、運用口座の有効証拠金は4万円を維持する。
- ロスカットしても、次の日から有効証拠金4万円ですぐに同じ運用を開始する。
戦略を実施するために必要な準備
ご紹介した戦略は、以下の手順で実施することが可能です。詳細は各記事でご確認ください。